早速図書館に行き、「読んでくれ~」とばかりに目に飛び込んできたのが山本容子氏の版画も麗しい豪華装丁の池内訳「ファウスト」第1,2巻。今までに何度その棚を見てもいつも第1巻がなく、第2巻のみしかなかったのに。これは読書の神様もしくはドイツ語の神様が読んで・・もとい呼んでいる!と借りる決心。で、一気呵成に読みました。
まずは、「最後まで読める訳」をしてくださった池内先生に感謝。名作の翻訳物は日本語の言葉が古くて読みとおせないものが多々ありますが、読み物としてはすんなり最後まで読みとおせました。
中身はというと、「これは・・SFというかファンタジーというか・・ゲームシナリオのような・・」と既視感を覚えながら進んでいった感じです。
本当は逆なんですよね。先にファウストがあって、幾百の作家が影響を受けている。それはわかっているのですが、自分にとっての順番は「SF&ファンタジー」が先なので妙な気分でした。
あちこちに、名言がちりばめられているような感じです。一応「悲劇」ということになっているのですが、戯曲形式で話があちこちに飛ぶ上に、いろいろな異形のモノが出てくるので、悲愴感はなく、あれよあれよという間に最後まで行ってしまいました。
メフィストも、ものすごい悪役だと思って読みはじめてしまいましたが、ファウスト(主人公)の望みをかなえっぱなしの上に(そういう約束をしているからですが)万能というわけでもなくて、「あらら、こういうキャラだったの?」と目から鱗でした。やっぱり実際に読んでみるものですね。とはいえ、翻訳によってはものすごく深淵な悪に描かれているのかもしれませんが・・。
「おおっ」と思ったのが、第2部に、国の財政再建?の話が出てくるところ。証書の「信用」が問題となるあたり、現代にも通じる話です。200年程度では価値観はともかく、人の行動はそんなに変わらないのかもしれません。
しかし、この話を「解釈」しようと思ったら、それはそれは大変だろうと思います。池内先生の解説にも膨大な解釈があることが記されていました。
Wikipediaを見ただけでもゲーテの周辺は大変なにぎわいです。この充実度は何なのでしょう?と不思議に思ってしまうぐらいです。
以下Wikipediaへのリンク
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
ファウスト
Wikipediaのファウストの項目の関連作品を見ると、音楽家の想像力を特に刺激したようですね。確かに、歌(詩)がたくさんでてきますし。「これはどんな旋律で歌われたのだろう?」と思うと楽しいですね。 シューベルトもムソルグスキーも曲名ではピンとこないのですが、きけばわかるのかな。
ちなみに、上記の「外部リンク」の項目にあるプロジェクト・グーテンベルクのファウストはドイツ語版です。ええ、ドイツ語だということはわかりましたとも。本文は取り組むすべもありませんが(単語の原型がわからないと辞書もヒットしない・・)目次をみくらべて、Nachatが夜と訳されているのはいいとして、「Straßeを往来と訳すのか、かっこいい!」「Abendは夕方でいいのか、なるほど」などとすこーしドイツ語学習モードに入っています。
うーん。こうなるとヘリテージシリーズ版でも購入して手元におけば勉強できるってことですね。ある意味便利かつ困ったことに気づいてしまったのかも・・。
図書館にあったのはこちら。豪華です。タイトルが金文字です。
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廉価版?もあるようです。ヘリテージシリーズというんですか・・知らなかった。
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