内容はかなり難解で、お金方面、数字方面、確率方面などに普段縁のない人にはちょっとつらいかもしれないです。
ただし、訳者が「ヤバい経済学」の望月衛氏なので、文章自体はかなりこなれています。「わからない部分は気にしなーい」という読み方であれば完読できると思います。
わざわざ完読できるかどうかを書くのは、なんとなく人気と完読度が一致しないジャンルの本ではないかという気がするので・・。昔、大売れしていたホーキンス博士の宇宙論の本なんてありましたね。たくさんの人が持っているけど読んだ(読めた)人は少数というベストセラーの類。
これは数理系トレーダーであるタレブ氏の「エッセイ」(著者本人にとっては専門書の類ではない)なので、タレブ氏の率直な意見が記載されています。たとえば・・・
”だいたいはファイナンスの研究者なのだが、自分の脳に行動を合わせる代わりに、自分の行動に脳を合わせるたぐいの人たちがいる。この手の人たちは、無意識のうちに時間をさかのぼって都合のいい統計データを探しだし、自分のとった行動を正当化する。私の業界にもそういう人たちがいて、統計を使ったインチキでオプションを売るという自分の行動を正当化し、自分で自分にだまされている。(p.256)"
うーん。CDS・・・。今読むと一層趣深いですなぁ・・。
著者のタレブ氏の「統計・確率」の専門家としての意見が、以前読んだ禅の本に書いてあったことにとても似ている気がします。「今をあるがままに受けとめる」という感覚と言えばいいのでしょうか・・。
金融危機に「ふりまわされなければいけない気」になっている人におすすめかもしれません。マスコミが騒いでいても、今影響がないなら、それで良いではありませんか。影響を受けるときはいやでも受けるんですから。
ちなみに著者タレブ氏のご尊顔は以下のWebで拝見できます。(本には著者近影はありません。)
Nassim Nicholas Taleb's Home Page
著者にメールする場合は、再下段の注意事項を良く読み、緊急の場合のみ40word未満で簡潔に記載し送りましょう。しかし、この注意事項の欄、面白い!
関連書
ちょっとブログ: ヤバい経済学 スティーヴン・D・レヴィット、スティーヴン・J・ダブナー 著、望月衛 訳
ちょっとブログ: 数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活:ゲルト ギーゲレンツァー Gerd Gigerenzer・著、吉田 利子・訳
まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか 望月 衛 ダイヤモンド社 2008-02-01 売り上げランキング : 587 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
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