2008年1月26日土曜日

金融広告を読め 吉本 佳生・著

 新書なのに500P超、前半はカラー印刷ページ有りという体裁にまず驚き。金融商品のからくりを「ありそうな商品」の架空広告から読み解いていきます。架空広告の「ナンデモごちゃまぜファンド」や「八つ墓ファンド」というネーミングに爆笑。さまざまな金融商品がいかに「ハズレ」(資産を増やす目的での購入はすすめられない、つまり損する確率が高い)であるかが「これでもか」というぐらい徹底的に説明されます。
 金融商品購入の鉄則は「自分で理屈が理解できない商品は購入するな」です。この本を読めば買わない理由を「理屈が理解できているので購入しない」に進化させることができます。「当たり」については「限定条件つきではずれとは言えない」程度にとどまり、「この広告の商品を買え」というような指南はありません。これは「当たり」(ほぼ確実に資産を増やすことができる商品)であればコストをかけて広告などしなくても充分に売れるため「よくある広告」のひながたが存在しないためでしょう。
 本物の金融広告を見て「あこぎなことするな~」と反応できる人には金融商品パロディ本として読むのをおすすめします。爆笑まちがいなしです。
 蛇足ですが本文中に「税金天国」という言葉がフォローなしに出てきていました。「税金天国」=タックスヘブン:Tax heavenと勘違いされがちですが、正しくは「租税回避地」=タックスヘイブン:Tax havenですので補足しておきます。
 細かいところはさておき、「つまりどういうからくりなの?」という現実に即した金融リテラシーを高めるのに役立つ本であるのは間違いなしです。


金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか (光文社新書)金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか (光文社新書)
吉本 佳生

光文社 2005-05-17
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