主にアメリカを中心とした「肥満社会」のルポタージュ。胃を切除する手術から、命の危険があるやせ薬まで「やせられるなら死んでもいい」人々。遺伝子欠損で幼児のころから肥満(食べるのを止められない)する病の家系。いろいろな角度からの研究、研究と新薬にまつわる金。ファストフード産業と清涼飲料水産業の世界戦略。
描写がショッキングなのは前半の胃切除手術(目的は痩せるため)なのですが、読み進めていくうちにじわじわと怖くなりました。肥満、医療、薬、食があまりにも巨大な産業に囲まれてしまい、世界的に肥満が増殖している実態が浮き彫りになっていきます。
何故南太平洋の島の人が輸入缶詰を食べて早死にしなければならないのか。
何故学校のカフェテリアに清涼飲料水とファストフードが進出しているのか(学校にキックバックがあるから)。
何故・・何故こんなことに・・。読み進めていくうちに著者と同じ疑問を抱くようになっていきました。
本書には記載はなかったようですが、子どもの食習慣をつくるうえで、日本に給食制度があってよかった。栄養に対する一般的な知識がそこそこ浸透している国で良かったとしみじみ思います。
しかし体が必要とするより過剰に食べてしまう危険はこの先もずっと続くわけで、「自分は自分をコントロールし続けることができるのだろうか」という根本的な疑問がわいています。
大著ですが、「よくぞここまで調べたものだ!」と感嘆し、夢中で読みました。読んでいる途中の食事、何を食べようか本当に迷ってしまいましたが・・。
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