しかしお金方面から不動産を眺めても「住まい」「暮らし」はなかなか見えてきません。誰の本がきっかけだったか忘れましたが、建築家の中には「住まい」「暮らし」についてつきつめて考えている人が多いということを知り、建築家の書いたエッセイを好んで読むようになりました。
宮脇 檀氏(1936~1998)のエッセイはどれも住宅や建築について素人に「啓蒙活動」をしているという趣がありますが、それだけに門外漢にもとっつきやすく、楽しく読めます。
「日曜日の住居学」は1983年に出版されたエッセイ集の文庫版なので、さすがに内容が多少「古い」と感じる部分もあります。しかしそれ以上に驚きなどが25年を経た現在でも「家を持とう」という日本人の感覚があまり変わっていないように思えることです。
特に衝撃だったのが、「住み方の姿勢について」というエッセイ。
一番驚くのは住まい方の汚さである。
一億円の住宅を望む地方の資産家も、二五〇〇万円の三〇坪住宅を願うサラリーマンも、中程度を要求する一流大学出身の夫婦も、その住まい方は“あっ”というほどおそまつである。(P65~66)
たくさんの施主と会って、たくさんの家を見た人だからこその実感ある表現。もちろんそれぞれに言い訳があることも、その言い訳にも理解を示しているけれど、総括すると「おそまつ」になってしまうという恐ろしさ。「読むと掃除をしたくなる一冊」です。
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