2008年3月9日日曜日

お坊さんだって悩んでる:玄侑宗久・著

 仏壇もなく、墓参りの習慣もなし(遠方なので)、お坊さんにお目にかかるのは葬式のときだけという生活をしているので、却って「職業宗教家というのはどんな生活をしているのだろう」という点に興味があったりします。
 「お坊さんだって悩んでる」は月刊「寺門興隆」という寺院関係の専門誌のQ&Aコーナーをまとめたものだそうです。いろいろな専門誌があるものですね・・。
 最初に「問」があって、そのあとに著者の「答」が続くのですが、その問からして

 ・・(前半略)
 金銭欲はあまりないと思うのですが、こんな私は、僧侶失格でしょうか?[住職](P.76)

といった具合で、まさに「悩み相談室」そのままです。
 それなりに真摯な悩みが多いのですが、「へー、お坊さんって悟った人じゃないんだー」と驚いてしまいました。お坊さんからしたら「お坊さんと悟った人がイコールだと思っている一般人がいるのか」と驚かれてしまいそうですが。
 「副住職」という立場のお悩みが結構多く、文脈から見ると、どうも、「お寺の息子さん(住職=父)」であることが多いようなので、「ほほー。これは同族会社の社長(父)と専務(息子)のような関係であるようだな。世代間の価値観の差が寺院運営方針に軋轢を生みそうで悩んでいるのだな」と推測できて身近な気がしてきます。
 世襲が多そうな業界(と言って良いのだろうか・・まぁ職業だし・・)ですが、食うには困らないにしても、職業選択の自由が制限されてしまう「寺の後継ぎ」も悩みが多そうだなぁなどと、知らない世界だけにいろいろと空想をめぐらせてしまいました。
 一応「葬式仏教徒」であるため、いずれ生身のお坊さんとの接点が来る日があるでしょう。
 しかし、現時点では「何宗」のお寺さんにお世話になるかも知りません。来るべき日のために、失礼のないよう一般論ぐらい知っておかなければ・・。宗派については高校の「倫理」で習うんでしたっけ? 


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玄侑 宗久

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