第一章タイトルは「決められないこどもたち」ですが、「今どきのこどもたちは~」という一般論ではなく、具体的に精神科につれてこられたこどもの例で極端な「決められない」状態が示されます。
そのうえで、子どもの前に「親からして問題あり」な例が第2章を通して示されています。
「決められない」ことに無自覚な大人が結果として責任回避行動をとったり、的外れなことをしたり、攻撃的な行動をしたりと・・困ったことを引き起こすのです。
この本は、決められない人が決められる方法を見つけるための本ではありません。著者のことばを引用すると・・。
ここで訴えたかったことは「決断しなければならない」ということではなく、決断できない人が現代社会の中に投げ出されている状況を認識すること自体が重要だということである。(P.202)
本書の中で印象的なことばが「不安耐性」。不安に弱いというイメージと、攻撃的、衝動的というイメージはつながっていなかったのですが。なるほど、不安に耐えられないから衝動的な行動に出る、キレるということになるのですね。そういえば「弱い犬ほどよく吠える」ということばがありましたね。
それにしても、以下の点はちょっと驚きでした。
1996年にイスラエルとアメリカの研究者たちが、積極的に新しいものを求めていく「新奇追求性」といわれる性格特性と遺伝子との関係を発表した。(P.126)
遺伝子で性格の傾向がわかることも驚きでしたが、欧米と日本人との比率の差も驚き。
「保守的な国日本」は遺伝子に組み込まれたものだったのか。それでは、少数派の「新奇追求派」が騒ぎ立てたところで、この国の「体質」はそうそう変わらないよなぁ・・と妙な納得の仕方をしてしまいました。
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